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僕らが教えます! 富山大学 芸術文化学部 第3回

安達博文先生
先生の作品を1つ紹介します。安達博文作「それぞれに」

飾りのない性格が伺える笑顔が素敵な安達先生は、独特のリズムと筆の運びを持つ「絵描き」の先生だ。研究室には所狭しと、絵画の筆、顔料などなどがあり、「先生は本当に絵がお好きなんですね〜」とマの抜けた質問を、ついしてしまいそう。そんな安達先生からは、これから始まる造型芸術コースの目指すものを語っていただいくことにしよう。

 
造形芸術科 安達博文先生
 

グローバルに活躍するアーティストを育成
第3回 富山大学 造形芸術科 安達博文先生

安達博文先生

富山大学芸術文化学部の造形芸術コースで教鞭を執られる安達博文先生の専門は、テンペラ画ですが、油彩、水彩、岩彩の技法などを取り入れ、独自の作品を作り続けています。先生の、芸術に対する観点を熱く語っていただきました。

安達博文:東京芸術大学美術研究科修士課程修了。2000年に高岡短期大学教授。国画会会員。第53回国展国画賞、第5回伊藤廉記念賞展大賞、第40回安井賞展特別賞など受賞。池田20世紀美術館、駒ケ根高原美術館などで個展を開催、出品歴多数。平成3年度文化庁派遣芸術家在外研修員としてイタリアに派遣。専門はテンペラ画、油彩画、版画。

造形芸術コースとは?

安達博文先生

美術全般の分野で、アーティストを育成するコースが造形芸術コースです。絵画はわたしが担当しますし、他に立体では金属、漆素材による造形や彫塑、木彫を学ぶことが出来ます。また、メディア・アート、インタラクティブ・アートの分野にも力を入れていますので、単に芸術といっても、平面、立体、メディアと、多彩な選択肢があるわけです。

芸術を志す者にとって最も重要なことは基礎力だと思っていますので、最初の1年間は十分にデッサンなどの基礎力をつけてもらいます。その後、各自の専門分野を学んでいってもらうことになります。

また、本学部の特徴のひとつとして、就学の途中で他コースの授業を受講することが可能なのです。これは、あまり他の大学の芸術系コースでは例をみないことだと思います。

安達博文先生

例えば、建築をやろうと思って入学してきた学生が、2年の途中で「やっぱり自分は絵画がやりたい!」と思ったら、その時点から絵画のコースを受講することができるんです。登録上のコースそのものを変更することはできないのですが、他コースの授業を受講して卒業することが可能なのです。

若い学生は、最初から自分のやりたいことが分かっていない場合も多いですから、わたしたちは、学生に対してこういう臨機応変な対応が必要だと考えています。

学生に伝えたいこと、学生に期待したいことは?

安達博文先生

まずはアーティストを目指してほしい。
 よく「ここの学部は芸術系だけどつぶしが効くのが売りだって聞いたんですけど」と言われます。つぶしが効くというよりも、卒業後、芸術系以外の分野でも就職の条件がよいということはいえると思います。もちろんわたしたちは、学生たちが卒業後様々な分野で活躍していけるよう最大限のサポートをしています。

でも、わたしのところに来る学生たちには、まず第一に、自分のやりたい芸術、自分が目指すアートにこだわってほしいのです。わたしにとって、アーティストとは利益や社会的評価より先に自分の表現したいことを追求する人間だと思ってます。そして、長く、そのこだわりを信じて続けてほしい。長く継続することが、大切なんです。

安達博文先生

「展覧会で入賞したい」とか、すぐに結果を求めるのではなくて、最初のうちはかんばしい評価が得られないでも、モノ作りが好きで、自分のやっていることを信じてコツコツ継続できる人間が、最終的には大成します。

10年も芸術活動に携わっていると、辛いことや大変なことは沢山あります。でもそんなハードな時でも「好き」「楽しい」という気持が1%でも残っていれば、続けられるんです。

うちの学部には、何か「作りたいモノ」「表現したいコト」があって、目的意識をしっかりもっている学生が多いですから。最初に抱いているそういう気持をずっと大切に持ち続けてほしいですよね。

指導をする上で意識していることは?

安達博文先生

それぞれの学生の個性を見極めて、適切な指導ができればと思います。色感とか、形に対するセンスとか、学生によってその特性はそれぞれ違ってきますから、個人個人の個性を活かして、自分のやりたいこと、向いている分野を気付かせていけたらいいですね。

教育で大事なのは、とにかく誉める、その学生のいいところを認めてあげることだと思うのです。絵画の場合は、形に対するセンスと色に対するセンスの両方が必要なのですが、たいていの学生は、そのどちらかのセンスは持っています。例えば色彩のハーフトーン(中間調子)の使い方が巧みな学生は、そこを誉める。ハーフトーンの使い方がいいと、逆にヴィヴィッドな色調が活きてくる。そして、全体的な色使いが上手になると、形のセンスもよくなってくる。

安達博文先生
上のロール紙に描かれた絵は、先生の「絵日記」である。ほぼ毎日、1つずつ絵を描き加えていく。長い間には、何メートルにも達するロール紙が先生の絵で埋まるのだ。
 
絵日記   絵日記
絵日記の一部を抜粋。その日あった事を、素直に書き込むのがコツ、とのこと。

私は「補完機能」と呼んでいるのですが、形のセンスか色のセンス、どちらか一方が優れている学生は、そのプラスの部分を誉めると、結果的にマイナスの部分も補って、全体としてよりよい絵が描けるようになるんです。学生それぞれの特性をきちんと理解して、その子の優れているところを誉めながら才能を伸ばしてあげる。

私たちは、年齢も重ねていますし、彼らに比べれば経験も豊富です。だから、彼らを良い方向に導けるような気がしているのですが……ただ、時には我々の経験がマイナスになることもあります。我々の常識では考えられないことを、逆に学生たちから教えられるなんてことも時にはあります。やはり、彼らの若い感性は面白いですし、そういうものはいつも大事にしたいですね。
 

好きな画家は?

昔からピカソが好きでした。でも、最近いちばん興味があるのは、日本の伝統的な絵画。西洋絵画は、フレスコ、テンペラ、油彩という進歩の歴史の中で遠近法という技術を確立してきました。でも日本画は、線と面に基づく非遠近法の世界で、そこには、西洋の視点とは別の「観る者のリアリティー」がある。

印象派の時代、浮世絵の構図が西洋で注目されたことは有名ですよね。そういう意味でも、私は、西洋画を経由して再び日本に目を向けることはとても面白いと思います。

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