僕らが教えます! 富山大学 芸術文化学部 第5回

ただモノのデザインをするだけではない。モノ作りをするうえで、上流にあるコンセプト力、発想力を養う場所、それがデザイン情報コースです。デッサンなど、実技の苦手な学生でも、豊かな発想力で勝負すればいい。そういう学生も大歓迎だ! 技術力と発想力のバランスをとることが大事なんだ! と語る矢口先生の専門はプロダクトデザイン。デザインに対する先生の柔軟で自由な考えには、大きな可能性が感じられます。
富山大学 デザイン情報コース 矢口 忠憲先生

富山大学芸術文化学部のデザイン情報コースで教鞭をとられている矢口忠憲先生は、プロダクトデザインを専門に追究されています。資料の山がうずたかく積まれた研究室で、先生に、デザインへのアプローチ、そしてデザイン情報コースの特徴について熱く語っていただきました。
矢口忠憲:愛知県立大学大学院修士課程修了後、新白砂電気株式会社商品企画室デザイングループを経て、2001年高岡短期大学准教授。専門は工業デザイン。日本デザイン学会、日本インダストリアルデザイナー協会会員。
デザイン情報コースの特徴とは?

まず、わたしたち富山大学芸術文化学部の一番の特徴は、それぞれのコースの学生同士がクロスして、別のコースの学生や教員たちと交流しながら学んでいけるということなんです。これは学生達が学ぶ上で「たて割り」構造の環境は良くないのではと考えて・・・。
デザイン情報コースの学生たちは、例えば、デザイン工芸コースや造形建築科学コースと積極的に接点を持つことになるのではと考えています。入り口が違っても、それぞれのコースの学生が相互にクロスできる環境、それが芸術文化学部の目玉のひとつです。
デザイン情報コースの特徴としては、入試の方法を見ていただいても解るように、実技を重視した「I類」と、発想やコンセプトを重視した「II類」の2つの方式を採用していることです。つまり、半数は実技なしの試験で入学してくることになります。
北陸の大学の芸術系セクションでこのような試みをしているのは、私たちの芸術文化学部だけでしょう。これは、とても新しい試みだと思っています。
すなわち、同じコース内に、考えることが得意な学生と、具体化するための実技能力に優れた学生が混在すことになる。そして、その混在が、技術的な能力とプロデュースやマネージメント能力とを結びつかせるのです。私たちが求めるのは、そういった統合、融合から生まれる新しい能力なのです。そういう能力こそが、これからの情報社会に対応していく、大切なキーワードになってくるのだと考えています。
そもそもデザイン情報って?

伝統的な工芸品やクラフト製品、工業製品にいたるまで、私たちは多くのモノに囲まれて生活しています。デザイン情報コースが目指すのは、これらのモノ作りプロセスの「上流」の強化にあります。「コンセプト・メーキング」といってもいいかもしれません。具体的なモノ作りを踏まえながら、ビジュアルやプロダクト、環境などに関わる、全てのモノ作りのコンセプトに深く関わっていくこと、既成概念に捕らわれない柔軟な発想で、これからのモノのあり方、暮らしのあり方、地球環境のあり方までを考え、導きだしていくのが、デザイン情報コースなのです。
様々なデザイン分野の垣根を取り払って、総合的且つ適切に問題を解決する、新たな提案をする、それこそが真のデザインなんです。さらに、そこに経営やマネージメントも付け加えていきたい。例えば、自分でデザイン事務所や工房を開いても、運営のノウハウが解らなかったらきびしい道になるでしょう。私たちの理想は、融合教育によって、学生の「総合能力」を高めることにあるのです。
例えば、具体的にどんな授業を?

富山や高岡という土地は、アルミや銅などの金属を初めとし、漆、木材、繊維といったように、モノを作りだす能力に非常に優れた場所なんです。このような環境で、地元の企業と連携した授業を学生やちに与えることは、とても意義のあることです。企業側から「生産や製造技術に関するノウハウ」を提供してもらい、代わりに、「それを何に結びつけるか、どこにどうやって生かすか?」といった発想力を学生たちに要求するわけです。
あとは、私が担当している発想法の「トランスフォーメーション」という授業があります。これは、自然界の中から法則性や機能、働き、役割、やり方などを見つけだし、それを製品に等価変換するという授業です。例えば、夏の間ハチが、巣の中にいる幼虫を暑さから守るため、巣の入り口に自らだした唾液に羽で風を送り込むことによって気化熱をうばうといった方法を、製品(クーラー)の原理に生かすとか、ハチの巣のハニカム構造を飛行機の翼の構造に生かすなど・・・。これらも、自然界の中にある必然性からヒントを得る、といった発想力を高める訓練のひとつです。

学生達に一言
「真のデザイン力」を身につけるとともに、「私のウリはココ!」「私にやらせれば、こうできます!」「これだけは誰にも負けません!」といった、自分をアピールできるポイントと、それを効果的にプレゼンテーションできる力を身につけていってください。
芸術文化学部を卒業すると「芸術文化学士」という学士号を取得できます。でも、みなさんには、そんないっぺんとうな学士号ではなく、自分だけの学士号、自分で確かだと思えるオリジナルなものを得て卒業していってほしいのです。私たちの学部は少人数制なので、行き届いたケアができると思っています。ですから、卒業式には、115通りのオリジナルな学士号が誕生するのだと信じています。

そして最後に、ここ高岡という街は、モノ作りを学ぶには最適な場所です。わたし自身も富山県の出身ですが、高岡の地は学舎とモノ作りの現場が隣接しているところが凄いと実感してます。また、自然も豊かで住むための環境も最高です。だからぜひ県外からも多くの学生たちに、ここ高岡の街に来てもらいたい。共に学び苦しみ、楽しみ、充実した4年間を過ごしてみませんか。
待ってますよ!